注文住宅の資金計画で、全体がつかみにくいのが「諸費用」です。見積や資金計画表に金額が並んでいても、それがいつ、誰に支払うお金なのかまでは読み取りにくいことがあります。
結論からお伝えすると、注文住宅の諸費用は、「総額の何%」とひとくくりにするよりも、何に・いつ・誰へ支払うのかで整理するほうが実際の準備に役立ちます。何を諸費用に含めるかは住宅会社や資料によって異なり、土地の条件によっても大きく変わるためです。
もう一つ大切なのは、総予算としては足りていても、支払うタイミングによって手元の現金が足りなくなることがあるという点です。この記事では、諸費用を「費用の種類」「支払う時期」「現金で払うのか、住宅ローンなどに含められる可能性があるのか」の3つの軸で整理し、担当者にそのまま聞ける質問例までまとめます。
注文住宅の諸費用とは
諸費用とは、土地の代金と建物の工事代金以外に、家づくりにかかる費用の総称です。税金、登記の費用、住宅ローンの手数料、保険料などが代表的です。
ただし、「諸費用」の範囲に決まった定義はありません。外構(駐車場・門・塀・庭など建物まわりの工事)や地盤改良、上下水道の引込工事などを、諸費用に入れている資料もあれば、「付帯工事費」として建物側に入れている資料もあります。

そのため、複数の会社の資金計画表を比べるときは、「諸費用」の合計額を比べるよりも、同じ項目がそれぞれどこに、いくらで入っているかを見ると、同じ条件で比べやすくなります。家づくり全体の流れの中での位置づけは、家づくりの進め方で整理しています。
諸費用の内訳:何に、誰へ、いつ支払うか
主な費用を、支払先と時期で整理すると次のようになります。時期は一般的な例で、契約の内容や金融機関によって異なります。
| 費用 | 主な支払先 | 主な時期 |
|---|---|---|
| 売買契約書・工事請負契約書の印紙税 | 国(収入印紙など) | それぞれの契約時 |
| 仲介手数料(仲介で土地を買う場合) | 不動産会社 | 契約時・決済時など(会社により異なる) |
| 登記の費用(登録免許税・司法書士などへの報酬) | 司法書士など | 土地の決済時、建物の完成時 |
| 固定資産税などの精算金 | 売主 | 土地の決済時 |
| 住宅ローンの手数料・保証料など | 金融機関・保証会社 | 融資の実行時 |
| 火災保険・地震保険の保険料 | 保険会社 | 建物の引き渡し前後 |
| 不動産取得税 | 都道府県 | 取得のあと、納税通知が届いてから |
土地を買うときにかかる費用
印紙税は、契約書に課される税金です。不動産の売買契約書と建設工事の請負契約書には軽減措置があり、令和9年3月31日までに作成される契約書が対象です。たとえば、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、軽減後の税額は1万円です(国税庁。令和8年4月1日現在の法令にもとづく情報)。
仲介手数料は、不動産会社の仲介で土地を購入する場合などに発生します。金額には法律にもとづく上限があり、売買の場合は、価格のうち200万円以下の部分に5.5%、200万円を超え400万円以下の部分に4.4%、400万円を超える部分に3.3%(いずれも消費税込み)を掛けた額の合計が上限です(国土交通省)。
説明のための仮定として、土地の価格が1,500万円の場合を計算すると、200万円×5.5%+200万円×4.4%+1,100万円×3.3%=56万1,000円(消費税込み)が上限になります。これは上限の額であり、実際の金額と支払う時期は、不動産会社との媒介契約で確認します。
なお、不動産会社が売主となっている土地を直接購入する場合など、取引の形(取引態様)によっては仲介手数料が発生しないケースもあります。取引態様は販売図面に書かれています。図面の読み方は土地の販売図面の見方で解説しています。
登記の費用は、土地の名義を買主に移す所有権移転登記にかかる登録免許税と、手続きを依頼する司法書士への報酬です。登録免許税は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格をもとに計算します。土地の売買による所有権移転登記の税率は、令和11年3月31日までに登記を受ける場合、1.5%に軽減されています(本則は2%。国税庁)。司法書士への報酬は依頼先や手続きの内容によって異なるため、見積で確認します。
固定資産税・都市計画税の精算は、法律上の納税義務と、売買契約上の精算を分けて考えます。固定資産税は、法律上は毎年1月1日時点の所有者に課税されます(総務省)。一方で、売買の実務では、引き渡しの日を境に売主と買主で負担を分け、買主が売主へ精算金を支払う取り決めをすることが多くあります。精算の方法や起算日は契約条件によって異なるため、売買契約書や精算書で確認してください。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに都道府県が課税する税金です。税率は本則4%で、住宅と土地については令和9年3月31日まで3%とする特例があります。新築住宅や住宅用の土地には、要件を満たす場合に軽減措置があります(総務省)。取得のあとしばらくして納税通知が届くため、資金計画表に載っていないことがあります。軽減を受けるための手続きは都道府県によって異なるため、都道府県税事務所で確認します。
売買代金以外に授受される金銭は、重要事項説明でも説明される項目です。確認の仕方は重要事項説明で確認したい項目と質問例で解説しています。手付金や契約の流れは不動産の売買契約の流れにまとめています。
住宅ローンを借りるときにかかる費用
住宅ローンを借りるときには、金融機関の事務手数料(融資手数料)や保証料、ローン契約書の印紙税、抵当権(住宅ローンの担保として設定される権利)の設定登記にかかる費用などが発生します。
手数料や保証料の仕組みは、金融機関や商品によって異なります。借入時にまとめて支払う方法と、金利に上乗せして支払う方法を選べる場合もあり、どちらを選ぶかで借入時に必要な現金が変わります。
注文住宅で、建物の完成前に土地代金や工事代金の支払いが必要になる場合は、つなぎ融資(住宅ローンが実行されるまでの間、一時的に資金を借りる仕組み)などを利用することがあり、その利息や手数料も費用になります。仕組みの詳細は別の記事で扱う予定です。
建物の契約から完成までにかかる費用
建物については、工事請負契約書の印紙税、建築確認などの申請にかかる費用、地盤調査の費用、完成後の登記(建物の表題登記・所有権保存登記)の費用、火災保険・地震保険の保険料などがあります。
住宅用家屋の所有権保存登記には、自分が住むための住宅であることなどの要件を満たす場合に、登録免許税の税率を0.15%とする軽減措置があります(本則は0.4%。令和9年3月31日まで。国税庁)。
地震保険は、火災保険とあわせて契約する仕組みです。保険金額は火災保険の30%〜50%の範囲で設定し、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度です(財務省)。保険料は建物の構造や所在地によって変わります。
申請費用や地盤調査の費用は、「本体工事」「付帯工事」「諸費用」のどこに入っているかが会社によって異なるため、見積で確認します。
土地の条件によって変わる費用
次の費用は、すべての人に発生するものではなく、土地の条件によって発生したり、金額が大きく変わったりします。
- 測量・境界の確認(境界がはっきりしていない場合など)
- 古い建物の解体(建物が残っている土地の場合)
- 造成や擁壁(ようへき。高低差のある土地で土を支える壁)の工事
- 地盤改良(地盤調査の結果、補強が必要と判断された場合)
- 上下水道・ガスの引込工事、水道加入金など(自治体や敷地の状況による)
- 外構工事
これらは、調査や見積をしてみないと金額が決まらないのが特徴です。金額の目安を先に探すよりも、「何によって金額が変わるか」「いつ金額が確定するか」「誰に見積を依頼するか」「資金計画表に含まれているか」を確認するほうが、実際の判断に役立ちます。
測量や境界の確認は、誰がどの範囲まで行い、誰が費用を負担するのかが、契約条件や取引の内容によって異なります。契約前に確認しておきたい項目です。
土地の条件ごとの確認方法は、次の記事で整理しています。
- 高低差や擁壁のある土地で、何が費用の原因になり、いつ金額が分かるのか:擁壁のある土地を買う前に|高低差・既存擁壁の確認点と担当者への質問例
- 上下水道やガスがどこまで引き込まれていて、追加工事が必要か:土地の上下水道・ガスは引き込み済み?購入前の確認方法と担当者への質問例
入居の前後にかかる費用
入居の前後にも、建物の見積には入っていない支出があります。
- 多くの人に関係するもの:引っ越し、家具・家電、振込手数料
- 見積に含まれているかどうかで変わるもの:照明、カーテン、エアコン、テレビアンテナなど
- 条件によって発生するもの:仮住まいの費用(建て替えや住み替えの場合)
- 行うかどうかを選べるもの:地鎮祭や上棟のときの費用
見積や資金計画表だけでは分かりにくい費用
「概算」「別途」「実費」と書かれている項目
資金計画表は、住宅会社や不動産会社がその時点で分かっている情報をもとに作る資料です。「概算」「別途」「実費」と書かれている項目は、まだ金額が確定していない、またはその会社の見積の範囲に入っていないことを意味します。
これらの書き方自体が問題なのではありません。いつ、何をすれば金額が確定するのかを聞いておくと、後から金額が変わったときにも落ち着いて判断できます。
支払先が複数に分かれている
諸費用は、売主、不動産会社、司法書士、金融機関、住宅会社、保険会社、自治体と、支払先がいくつにも分かれます。住宅会社の資金計画表には土地側の費用が概算で入っていたり、不動産会社の資料には建物側の費用が入っていなかったりするため、1社の資料だけでは全体が見えにくいことがあります。
引き渡しのあとに届く支払い
不動産取得税のように、取得からしばらくして通知が届くものや、入居後の家計でも負担することになる固定資産税・都市計画税は、「家が完成するまでの費用」をまとめた資金計画表には載っていないことがあります。入居後の家計も含めて、予定に入れておきます。

いつ現金が必要になるか
総予算は足りているのに、現金が足りなくなる理由
注文住宅では、建物分の住宅ローンが完成・引き渡しのときに実行される商品があります。一方、土地の代金や工事途中の支払いにどう対応するかは、金融機関やローン商品によって異なります。そのため、住宅ローンが実行されるより前に、支払いが発生する場面がいくつもあります。

| 時期 | 主な支払いの例 | 住宅ローン実行との関係 |
|---|---|---|
| 土地の売買契約 | 手付金、契約書の印紙税、仲介手数料の一部(会社による) | 実行前。現金で用意することが多い |
| 土地の決済 | 土地の残代金、登記の費用、固定資産税などの精算金、仲介手数料の残り | 土地の代金は融資の利用方法による。諸費用は現金になることがある |
| 建物の工事請負契約〜工事中 | 契約金、契約書の印紙税、着工時・上棟時の支払い(契約による) | 実行前になることが多い |
| 建物の引き渡し | 建物の残代金、登記の費用、ローンの手数料・保証料、保険料 | ローン実行と同時期 |
| 入居の前後 | 引っ越し、家具・家電、外構(別契約の場合)、不動産取得税 | ローン実行後の支払いになることが多く、住宅ローンの対象外・別払いになる費用もある |
表のとおり、支払いの総額が予算内に収まっていても、ローンが実行される前の支払いに充てられる現金が手元になければ、その時点で資金が足りなくなります。総額の確認とあわせて、時期ごとの現金の出入りを確認することが大切です。
住宅ローンに含められる費用は金融機関によって違う
諸費用のうち、どこまでを住宅ローンに含められるかは、金融機関や商品によって異なります。含められる場合でも、借入額が増えれば毎月の返済額も増えます。無理のない借入額の考え方は住宅ローンの予算はいくらが適正?「借りられる額」と「無理なく返せる額」の違いで解説しています。
※住宅ローンの条件や審査の結果は、金融機関によって異なります。個別の内容は金融機関にご確認ください。
自己資金をすべて頭金に入れる前に確認すること
自己資金を頭金に多く入れると借入額は減りますが、現金で支払う費用に充てるお金が残らなくなることがあります。頭金の額を決める前に、「現金で支払うことになる費用」と「その時期」を一覧にしておくと判断しやすくなります。

総費用と毎月の返済額のバランスは、住宅ローンの返済額シミュレーションで試算できます。
不動産会社・住宅会社は資金計画で何を確認しているか
資金計画の相談を受ける側は、総額だけでなく、次のような点を見ていることが多くあります。
- 自己資金をどの程度用意できるか
- 契約時や決済時に必要になる現金を、その時点で用意できるか
- 住宅ローンに含められない費用が残っていないか
- 土地と建物で、支払いの時期と融資の実行の時期がずれていないか
- 「概算」「別途」「実費」になっている項目がどこにあるか
- 地盤改良や外構など、未確定の費用に対する予備費をどう考えているか
実務では、契約の直前になって「この支払いは現金だった」と分かるケースが、買主にとっても担当者にとっても負担になります。早い段階で自己資金の額と使い道を共有しておくと、担当者も支払いの時期を踏まえた計画を立てやすくなります。
契約前に確認しておきたいこと
- 資金計画表の「諸費用」に、何が含まれ、何が含まれていないか
- 「概算」「別途」「実費」の項目が、いつ確定するか
- 契約時・決済時・工事中・引き渡し時に、それぞれいくら現金が必要か
- 住宅ローンに含められる費用と、含められない費用
- 土地の条件によって追加の費用が出る可能性と、その調べ方
- 引き渡しのあとに届く支払い(不動産取得税など)
- 未確定の費用に備える予備費を、どこから出すか
担当者にそのまま聞ける質問
相手ごとに、そのまま使える質問をまとめます。
不動産会社に聞くこと
- 「土地の代金以外に、契約日と決済日にそれぞれいくら現金が必要ですか?」
- 「この土地で、測量・解体・造成・引込など、追加で費用がかかりそうな項目はありますか?」
- 「確定測量や境界確認が必要な場合、誰が行い、費用は誰が負担しますか?」
- 「固定資産税などの精算は、いつを起算日にして計算しますか?」
住宅会社に聞くこと
- 「この資金計画表で『概算』になっている項目は、いつ金額が確定しますか?」
- 「この見積と資金計画表に含まれていない費用を教えてください」
- 「地盤改良が必要になった場合、費用はどの時点で分かり、どこから支払いますか?」
- 「契約時・着工時・上棟時・引き渡し時の支払いの時期と金額を、一覧でもらえますか?」
- 「外構は、この資金計画のどこに、いくらで入っていますか?」
金融機関に聞くこと
- 「諸費用のうち、住宅ローンに含められるものと、含められないものを教えてください」
- 「手数料や保証料は、借入時に支払う方法と、金利に上乗せする方法のどちらを選べますか?」
- 「融資が実行される前に、自分で用意しておく必要があるお金はどれですか?」
全体を通して聞くこと
- 「支払いの予定を、時系列に並べた表にしてもらえますか?」
複数の住宅会社の見積を比べるときに、見積に含まれる範囲や概算の項目をどうそろえるかは、住宅会社の選び方|見積の比べ方・提案の見方と担当者への質問例で整理しています。
よくある質問
諸費用は住宅ローンで借りられますか?
金融機関や商品によって、諸費用の一部を住宅ローンに含められる場合があります。ただし、対象になる費用の範囲は一律ではなく、ローンが実行される前に支払う費用は、いったん現金で用意することになる場合があります。対象の範囲と支払いの時期を、金融機関に確認してください。
諸費用のために、現金はいくら用意すればいいですか?
必要な額は、土地の条件、建物の内容、利用する金融機関によって大きく変わるため、一律の金額は示せません。資金計画表をもとに、「現金で支払う費用」と「その時期」を担当者に一覧にしてもらい、未確定の項目に備える予備費を加えて考えるのが現実的です。
不動産取得税は、いつ支払いますか?
不動産取得税は、不動産を取得したあとに都道府県から納税通知書が届き、その内容に沿って納めます。届く時期や、軽減を受けるための申告の手続きは都道府県によって異なるため、都道府県税事務所で確認してください。
まとめ
注文住宅の諸費用は、割合でひとくくりにするよりも、次の3つの軸で整理すると準備がしやすくなります。
- 費用の種類:何に対する費用か、誰に支払うのか
- 支払う時期:契約時・決済時・工事中・引き渡し時・入居後のどこか
- 支払い方:現金か、住宅ローンなどに含められる可能性があるか
そのうえで、担当者に「支払いの予定を時系列に並べた表」を頼み、未確定の項目がいつ確定するのかを確認しておくと、支払いのタイミングで現金が足りなくなる事態を避けやすくなります。
予算全体の考え方は住宅ローンの予算の決め方、家づくり全体の流れは家づくりの進め方もあわせてご覧ください。
※この記事の税率・税額・適用期限は、2026年10月5日時点で国税庁・総務省・国土交通省・財務省の公表情報を確認した内容です。税制や制度は変更されることがあるため、最新の情報は各機関の公式情報でご確認ください。個別の税額や手続きは、税務署・都道府県税事務所・司法書士・金融機関などにご相談ください。