気になる土地の販売図面を受け取ったものの、どこを見ればいいのか分からない。価格と面積は分かっても、この土地に本当に家が建てられるのか、ほかにお金がかかるのかまでは読み取れない。土地探しの最初の段階では、こうした迷いがよくあります。
結論からお伝えすると、販売図面は「その土地を検討するかどうか」を決めるための入口の資料です。書かれているのは主に価格や面積などの条件で、追加でかかる費用、実際に使いやすい広さ、希望の家が建つかどうかまでは分からないことが多くあります。
この記事では、販売図面の欄ごとに「書いてあること」と「書いていないこと」を整理します。あわせて、不動産会社が図面を受け取ったあとに何を確認しているか、担当者にそのまま聞ける質問例をまとめます。
なお、現地で見るポイントは不動産会社が土地を見るときに確認する主なポイントで解説しています。この記事は、図面や資料から読み取れること・読み取れないことに絞っています。
販売図面とは?書いてあることと書いていないこと
販売図面とは、不動産会社が土地や物件の情報を1枚にまとめた資料のことです。価格、面積、所在地、交通、法令上の制限、設備、取引の条件などが記載されています。
販売図面に載っている主な項目
土地の販売図面では、一般的に次のような項目が記載されています。項目名や並び方は、会社や図面によって異なります。
| 欄 | 書いてあること | 図面だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 価格 | 売出価格 | 価格の理由、ほかにかかる費用 |
| 土地面積 | 登記上または測量した面積 | 使いやすい部分がどれだけあるか |
| 法令上の制限 | 用途地域、建ぺい率、容積率 | 希望の家が建つかどうか |
| 接道 | 道路の幅、接している長さ、公道・私道の別 | 建築基準法上の道路かどうかの詳細 |
| 設備 | 上下水道、ガスの種類 | 敷地内まで引き込まれているか |
| 現況 | 更地、古家ありなど | 解体や造成に費用がかかるか |
| 備考 | 特記事項、引き渡し条件 | 書かれていない条件がないか |
不動産広告には、一定の条件で明示が求められる事項がある
不動産の広告には、業界の自主ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」と、その施行規則があります。施行規則では、土地が一定の条件に該当する場合に、その内容を明示することが求められています。
土地に関する主なものは次のとおりです(不動産公正取引協議会連合会が公表している施行規則第7条をもとに要約)。
- 市街化調整区域に所在する土地:定められた文言で、その旨を明示する
- 建築基準法上の道路に2m以上接していない土地:「再建築不可」または「建築不可」と明示する
- セットバックを要する部分を含む土地:その旨を表示し、その部分の面積がおおむね10%以上の場合は面積も明示する
- 路地状部分のみで道路に接する土地:路地状部分の面積がおおむね30%以上の場合、その旨と割合または面積を明示する
- 傾斜地を含む土地:傾斜地の割合がおおむね30%以上の場合などに、その旨と割合または面積を明示する
- 古家や廃屋などがある土地:その旨を明示する
- 高圧電線路の下にある土地:その旨とおおむねの面積、建築が禁止されている場合はその旨を明示する
- 都市計画施設の区域にかかる土地:その旨を明示する
また、売地の広告で表示すべき事項として、土地面積と私道負担面積、地目と用途地域、建ぺい率と容積率、取引態様などが定められています(媒体によって対象となる事項が異なります)。
これらの事項は、図面の下部や備考欄に小さく書かれていることがあります。販売図面は、備考欄まで読み切ることが基本です。
※規約・施行規則の内容は改正されることがあります。最新の内容は不動産公正取引協議会連合会の公表資料でご確認ください。
それでも図面に書かれにくいこと
表示のルールがあっても、すべての情報が図面に書かれるわけではありません。特に、次のような情報は図面に載らないことが多くあります。
- 解体、造成、擁壁、上下水道の引込工事などにいくらかかるか
- 擁壁や地盤、既存の配管などの状態
- 実際に建てられる家の大きさや形
- 周辺の環境や、時間帯による変化
「図面に書かれていない」ことは、「問題がない」ことを意味しません。書かれていない部分をどう確認するかが、販売図面を読むときのポイントです。
欄ごとに見る「販売図面だけでは分からないこと」
ここからは、販売図面の欄ごとに、図面を見た時点で気づいておきたい点を整理します。担当者に聞ける質問は、後半の「担当者にそのまま聞ける質問」にまとめています。
価格:安い理由は図面に書かれない
周辺の相場より安い土地には、理由があることが多いです。高低差、道路の条件、形の悪さ、インフラの状況などが、価格に反映されている場合があります。
ただし、販売図面にはその「理由」までは書かれていません。価格を見たら、ほかの欄とあわせて「なぜこの価格なのか」を考える材料にしてください。条件の優先順位のつけ方は土地探しで失敗しないための条件の絞り方と注意点で解説しています。
土地面積:公簿か実測か、使いにくい部分を含んでいないか
土地面積には、登記簿に記載された「公簿面積」と、実際に測量した「実測面積」があります。どちらの面積かによって、実際の広さが異なる場合があります。
また、土地面積と、実際に使いやすい面積は同じとは限りません。面積の中に次のような部分が含まれていることがあります。

- セットバック部分(道路として後退させる部分で、建物や塀を建てられない)
- 路地状部分(旗竿地の「竿」にあたる細い通路部分)
- 傾斜地や法面(のりめん。高低差のある斜面部分)
- 私道の持分として負担している部分
面積の数字だけで「広い」と判断せず、使える部分がどれくらいあるかを確認することが大切です。
接道・道路:幅と種類、建築基準法上の道路か
接道とは、敷地が道路にどれだけ接しているかのことです。建築基準法では、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していることが建築の条件とされています(例外や自治体独自の規定があります)。
販売図面には、道路の幅や公道・私道の別が書かれていることが多いですが、その道路が建築基準法上のどの種類の道路かまでは、簡略な記載にとどまることがあります。道路の幅が4m未満の場合は、セットバックが必要になる可能性があります。
前面道路が私道の場合は、通行や、配管工事のために道路を掘る「掘削」の承諾が必要になることがあります。
道路の種類やセットバック、私道の権利の確かめ方は、接道と私道の確認方法|道路の種類・セットバック・持分と担当者への質問例で詳しく解説しています。
用途地域・建ぺい率・容積率:数字だけでは建つ家の形は分からない
用途地域は、その土地に建てられる建物の種類を定めた区分です。建ぺい率は敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合、容積率は敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合です。

図面にはこれらの数字が書かれていますが、数字から「自分の希望する家が建つか」までは判断できません。前面道路の幅による容積率の制限、高さの制限、地区計画など、ほかのルールも関係するためです。実際に建つ家の大きさや形は、住宅会社にプランを描いてもらうと具体的に確認できます。
設備:「本下水」「都市ガス」は敷地内まで来ているか
設備の欄には、「公営水道」「本下水(公共下水道)」「浄化槽」「都市ガス」「プロパンガス」などが書かれています。
注意したいのは、前面道路まで配管が来ていることと、敷地の中まで引き込まれていることは別だという点です。図面の書き方だけでは区別できない場合があります。敷地内への引込工事が必要な場合、その費用は建物代とは別にかかります。

販売図面の設備欄を見たあと、上下水道やガスがどこまで引き込まれているかを確認する方法は、土地の上下水道・ガスは引き込み済み?購入前の確認方法と担当者への質問例で解説しています。
現況・地目:更地か古家ありか、高低差はあるか
現況の欄には、「更地」「古家あり」などが書かれています。古家がある場合、解体費用を売主と買主のどちらが負担するかは、取引の条件によって異なります。
道路や隣地との高低差がある土地では、擁壁(土が崩れないように支える壁)や造成の工事が必要になることがあります。図面の地形の記載や写真から高低差に気づけることもありますが、工事の要否や費用までは分かりません。
地目は、登記上の土地の用途区分(宅地、田、畑など)です。地目が田や畑の場合、家を建てるために農地転用の手続きが必要になる場合があります。
販売図面で高低差や擁壁に気づいたあと、何をどの資料で、誰に確認するかは、擁壁のある土地を買う前に|高低差・既存擁壁の確認点と担当者への質問例で解説しています。
備考欄・取引態様:引き渡し条件と、書かれていない条件
備考欄には、建築条件の有無、引き渡しの条件、各種の特記事項などが書かれています。建築条件付き土地とは、一定期間内に指定された会社と建物の工事請負契約を結ぶことが条件になっている土地です。
境界の扱い(確定測量をするかどうか)や、隣地との越境の有無は、備考欄に書かれていることもあれば、書かれていないこともあります。「現況有姿(げんきょうゆうし)」と書かれている場合は、現在の状態のまま引き渡すという意味です。何をどの状態で引き継ぐのかは、契約書で確認します。
取引態様は、その不動産会社が「売主」「代理」「媒介(仲介)」のどの立場かを示すものです。媒介の場合は、媒介を依頼した不動産会社への仲介手数料が発生することがあります。
取引態様によって、契約の相手や条件を相談する相手がどう変わるかは、不動産会社の選び方|家や土地を買うときの相談先と担当者との付き合い方で解説しています。
不動産会社は、販売図面を受け取ったあと何を確認しているか
実務では、販売図面を「検討の入口」として扱い、判断に必要な情報は公的な資料で裏付けを取っていきます。図面に書かれている内容が、資料と一致しているかを確かめる作業です。

図面は入口、裏付けは公的資料で取る
主な資料と、そこから分かることは次のとおりです。
| 資料 | 主に分かること |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 所有者、面積(公簿)、地目、抵当権など |
| 公図 | 土地の位置や形、隣地・道路との関係 |
| 地積測量図 | 測量した面積、境界の位置 |
| 道路の種別(役所で確認) | 建築基準法上の道路かどうか、道路の幅 |
| 都市計画図 | 用途地域、建ぺい率、容積率、都市計画道路など |
| 上下水道の配管図 | 前面道路の配管、引込の有無 |
| ハザードマップ | 浸水や土砂災害などの想定 |
登記事項証明書や公図は法務局で、道路や都市計画、上下水道は役所の担当窓口で確認するのが一般的です。資料の取り扱いは自治体によって異なるため、担当者に写しをもらえるかを聞いてみるのが早い方法です。
図面と資料で食い違いが出やすいところ
実務で確認が必要になりやすいのは、次のような点です。
- 面積:図面の面積が公簿面積で、実測すると異なる
- 道路:図面では「道路」と書かれていても、建築基準法上の道路としての扱いを確認する必要がある
- 配管:図面の設備欄の記載と、実際の引込状況が異なる
食い違いがあったからといって、すぐに問題のある土地だとは限りません。大切なのは、どの資料で確認した内容なのかを、担当者と共有しておくことです。
確認した内容は、最終的に重要事項説明にまとまる
不動産会社が調べた内容は、売買契約の前に行われる重要事項説明(宅地建物取引士が契約前に行う法定の説明)の書面にまとめられます。
ただし、重要事項説明は契約の直前に行われることが多く、その時点では判断に使える時間が限られます。図面の段階で気になった点は、早めに資料で確認しておくと判断がしやすくなります。契約までの流れは重要事項説明から契約・引き渡しまでの流れで解説しています。
販売図面で確認した内容が重要事項説明書にどう書かれているか、契約前に何を確認し、何を質問すればいいかは、重要事項説明で確認する項目と質問例で解説しています。
販売図面を見て「すぐ確認したいサイン」と「追加調査してから判断したいサイン」
販売図面には、見た時点で確認しておきたい記載があります。ここで挙げる記載があっても、それだけで購入できる・できないが決まるわけではありません。何を確認すれば判断できるのかを整理するための目安として使ってください。
すぐ確認したいサイン
次の記載は、希望する家を建てられるかどうかに直接関わるため、早い段階で担当者に確認しておきたい項目です。
- 「市街化調整区域」:市街化を抑えるための区域で、原則として建物の建築に制限があります。開発許可などの例外があるため、建築できる条件(許可の要件や例外にあたるか)の確認が必要です
- 「再建築不可」「建築不可」:建築基準法上の道路への接し方などの条件を満たしていない可能性があります。その理由と、条件を満たす方法があるかの確認が必要です
- 「高圧線下」:建物の建築に制限がある場合があります。制限の内容と範囲の確認が必要です
- 「都市計画施設の区域」:都市計画道路などの計画にかかっている場合があります。建築の制限や計画の状況の確認が必要です
※市街化調整区域や建築の制限は、自治体や土地の条件によって扱いが異なります。個別の判断は、自治体の担当窓口で確認してください。
追加調査してから判断したいサイン
次の記載は、費用や使い勝手に影響する可能性がありますが、内容によって判断が変わるものです。追加で調べてから検討するのが現実的です。
- 「セットバック要」:後退する面積と、実際に使える面積
- 路地状部分(旗竿地):通路部分の幅と、駐車や建物の配置への影響
- 「傾斜地を含む」「高低差あり」:擁壁や造成の要否と費用
- 「古家あり」:解体費用の負担と、解体の時期
- 「私道負担あり」:私道の持分、通行や掘削の承諾
- 設備が「前面道路まで」:引込工事の要否と費用
- 「建築条件付き」:建物の契約の期限と、指定される会社
販売図面を見たときの確認チェックリスト
販売図面を受け取ったら、次の点を順番に確認してみてください。
- 価格が相場と比べてどうか、安い場合に理由がありそうか
- 土地面積は公簿面積か実測面積か
- 面積の中に、セットバック部分・路地状部分・傾斜地・私道部分が含まれていないか
- 前面道路の幅と、公道・私道の別
- 用途地域・建ぺい率・容積率の記載
- 上下水道・ガスの種類と、引込の状況
- 現況(更地か古家ありか)と、高低差の有無
- 建築条件の有無
- 備考欄の特記事項と、引き渡しの条件
- 図面の作成日(情報が古くなっていないか)
図面の確認が終わったら、次は現地で確かめる段階です。現地で見るポイントは不動産会社が土地を見るときに確認する主なポイントを参考にしてください。
担当者にそのまま聞ける質問
図面を見て気になった点は、次の質問をそのまま使って担当者に確認してみてください。
面積について
- 「この土地面積は、公簿面積ですか、実測面積ですか?」
- 「この面積の中に、セットバック部分や私道部分は含まれていますか?」
道路について
- 「前面道路は建築基準法上の道路ですか?道路の種類も教えてください」
- 「私道の場合、通行や掘削の承諾はもらえますか?」
法令上の制限について
- 「用途地域と建ぺい率・容積率のほかに、高さ制限や地区計画など建て方に影響する制限はありますか?」
設備・現況について
- 「上下水道とガスは敷地の中まで引き込まれていますか?それとも前面道路までですか?」
- 「隣地や道路との高低差はどのくらいありますか?」
- 「古家の解体や造成の費用は、売主負担ですか、買主負担ですか?」
境界について
- 「境界標はすべて入っていますか?引き渡しまでに確定測量をしてもらえますか?」
資料・図面全体について
- 「登記事項証明書・公図・地積測量図の写しをいただけますか?」
- 「この図面はいつ作成されたものですか?その後、変わった点はありますか?」
- 「この図面に書かれていない条件や制限はありますか?」
- 「この土地で、建物以外に追加でかかりそうな費用はありますか?」
一度にすべて聞く必要はありません。気になる欄から順に確認していくと、答えを比べやすくなります。
質問したあと、返ってきた答えをどう確かめるかは、住宅会社への質問は何を聞く?不動産会社にも使える段階別の代表質問と回答の見方で解説しています。
よくある質問
販売図面や公的資料のコピーはもらえますか?
販売図面は、不動産会社に依頼すればもらえるのが一般的です。登記事項証明書や公図などの資料も、不動産会社が取得している場合は写しをもらえることがあります。手元にない場合でも、登記事項証明書や公図は法務局で誰でも取得できます。
販売図面の内容が実際と違っていたらどうなりますか?
販売図面は広告の資料であり、契約の内容を定める書面ではありません。契約の内容は、重要事項説明書と売買契約書で確認します。図面と違う点に気づいたら、契約前に担当者へ伝え、どの資料が正しいのかを確認してください。
「現況有姿」とは何ですか?
現在の状態のまま引き渡すという意味です。古家や残置物、設備などをどのような状態で引き継ぐのかは、図面の記載だけでは分からないため、契約書や重要事項説明書で確認します。
インターネットの物件情報と販売図面は同じですか?
同じ物件でも、掲載する媒体によって載っている項目や更新の時期が異なることがあります。気になる土地があれば、最新の販売図面を担当者から受け取って確認することをおすすめします。
まとめ
販売図面は、土地を検討するかどうかを決めるための入口の資料です。価格や面積などの条件は分かりますが、追加でかかる費用、実際に使える広さ、希望の家が建つかどうかまでは、図面だけでは判断できません。
図面を受け取ったら、欄ごとに「書いていないこと」を意識して読み、気になった点は公的な資料で確認してください。そのうえで現地を見に行くと、図面と現地の両方から判断できるようになります。
まず取りかかるとすれば、手元の販売図面を備考欄まで読み、「この図面に書かれていない条件や制限はありますか?」と担当者に聞いてみてください。
土地探しの中で、次に何をどの順番で確認するかは注文住宅の土地探しの流れ|確認する順番と購入前のチェックポイント、家づくり全体の流れは家づくりの進め方|何から始める?段階ごとの確認点と担当者への質問例で整理しています。
この記事は、不動産会社での売買・賃貸の実務経験をもとに執筆しています。法令・条例・広告の表示ルールは改正されることがあり、自治体によって取り扱いが異なる場合があります。実際の検討時には、自治体や関係機関の最新情報をご確認ください。