収納スペースの必要量に気づいた瞬間

家づくりを考え始めたばかりの頃、正直なところ「収納は多めにしておけば大丈夫だろう」と、少し軽く考えていた。

間取りの打ち合わせでも、部屋の広さや動線ばかりに目が向き、収納については後回しにしていたと思う。

そんな考えが変わったのは、今の住まいを改めて見直したときだった。

クローゼットや押し入れを一つひとつ開けてみると、普段は意識していなかった物が想像以上に多いことに気づいた。

季節物の衣類、来客用の布団、思い出の品、非常用品…。

どれも日常的には使わないけれど、確かに必要な物ばかりだった。

さらに、「どこに何をしまっているか」を考えてみると、動線の悪さにも気づいた。

使う場所と収納場所が離れているために、出し入れが面倒になり、結果として物が出しっぱなしになる。

収納は量だけでなく、配置も大切なのだと、そのとき初めて実感した。

営業さんから「収納は“今の量”ではなく、“これから増える分”も考えた方がいいですよ」と言われたことも印象に残っている。

家族が増えたり、趣味が変わったり、生活が変化すれば、物も自然と増えていく。

今だけを基準に考えるのは、少し足りなかったのだと思う。

そこからは、間取りを見るたびに「ここには何をしまうか」を具体的に想像するようになった。

玄関には外で使う物、キッチンには食品や調理器具、リビングには家族共有の物。

それぞれの生活シーンに合った収納を考えることで、家全体の使い勝手が見えてきた。

収納スペースの必要量に気づいた瞬間は、家づくりの考え方が変わった瞬間でもあった。

広さだけを追い求めるのではなく、「片づく暮らし」を意識することが、結果的に心地よい家につながるのだと感じている。

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